イノシトールって、どんな効果、効能が期待できるのか?
ビタミンやミネラルほど、有名ではない「イノシトール」ですが、実際に、食品など食べ物やサプリメントで栄養補給すると、どんな作用が期待できるのでしょうか?気になりますよね。
そこで、ここでは、イノシトールについて
- どのような効果、効能があるのか?
- どのような副作用、注意点があるのか?
- どのような食品や食材などの食べ物の含有量が多いのか?
- サプリメントの利用はどうか?
- 摂取量はどれくらいがいいのか?
といった点について紹介しています。
なお、イノシトールは、「ビタミンB8」「イノシット」「イノシトール一リン酸」「リポシトール」「ヘキサヒドロキシシクロヘキサン」のように、色々な呼び名があります。
これらについて調べている人は、イノシトールと同じになるので参考になると思います。
イノシトールの特徴・基本とは?
まずは、イノシトールの基本となる特徴を理解しましょう。
昔は、イノシトールは、別名でビタミンB8と言われ、ビタミンB群と考えられていました。
具体的に、ビタミンB群は、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(ビタミンB5)、ビタミンB6、ビオチン(ビタミンB7)、葉酸(ビタミンB9)、ビタミンB12といった8種類あり、これを総称して「ビタミンB群」と呼んでいます。
ビタミンB群は、体内でエネルギーや皮膚、神経の働きなどに必要で、人間が生きるために必要な栄養です。
ビタミンB群は、1つではなく、複数を組み合わせることで効果を発揮します。
現在では、イノシトールは、体内で生成されることが分かり、ビタミンからは外され、ビタミン様物質といったビタミンと似た重要な働きをするとされています。
イノシトールの効果・効能とは?
イノシトールを摂取することで、どのような効果や効能が期待できるのでしょうか?
具体的にイノシトールに期待できる効果としては、
- 脂肪肝の抑制・予防
- 動脈硬化(生活習慣病)を予防・抑制
- 脳細胞に栄養を与え、神経細胞の働きを助ける作用
- 乳児に必要な栄養成分
基本的に、イノシトールは、「脂肪肝・動脈硬化などの生活習慣病」「神経細胞による精神的健康」「乳児の成長」などへの効果が期待できるようです。
具体的に、どのような効果効能が期待できるのかは、下記で詳しく紹介しているので、参考にしてください。
脂肪肝の抑制・予防
イノシトールは、脂肪肝の抑制、予防効果が期待できることから「抗脂肪肝ビタミン」とも言われます。
抗脂肪肝ビタミンと言われる理由は、脂肪の流れをよくすることで、肝臓に蓄積する脂肪をコントロールする働きが期待できます。
動脈硬化(生活習慣病)を予防・抑制
イノシトールは、脂肪やコレステロールの流れをよくすることで、血管にコレステロールが溜まるのを抑制することで、動脈硬化の予防効果が期待できます。
お酒や揚げ物など、脂肪分の多い食事が多い人は、脂肪肝や動脈硬化になる可能性があるので、イノシトールを含む食品や食材が使われている食べ物やサプリメントを意識して摂取するといいです。
脳細胞に栄養を与え、神経細胞の働きを助ける作用
イノシトールは、細胞膜に含まれている「リン脂質」を構成している成分です。
特に、神経細胞の膜に多く存在しており、脳細胞に栄養を供給していることで、神経細胞の働きを助けるので、神経伝達や脳の活動を正常にするのに大切な栄養成分です。
神経細胞の働きサポートすることで、パニック症候群、強迫神経症、多のう胞性卵巣症候群、うつ病などの神経が関連する症状の緩和、予防に必要であるようです。
パニック症候群
パニック発作に対して、発作の頻度や重症度の低下したとも言われています。また、広場恐怖症(広場や公的な場所で起こる恐怖症)においては、重症度の低下があったようです。
ただし、パニック症候群については、さらに大規模の臨床試験を行わないと効果の証明ができたとは言えないレベルであるようです。
強迫神経症・強迫性障害
統計学的に、6ヶ月間、イノシトールを経口摂取したことで、有意に改善したというデータがあるようです。
多のう胞卵巣症候群
肥満女性で、多のう胞卵巣症候群の人が、経口摂取で、特別な形態にしたイノシトールを摂取したところ
- テストステロン値の低下
- 血清トリグリセリド値の低下
- 血圧の中程度の低下
うつ病対策
イノシトールをうつ病の患者が摂取し、うつ病評価尺度が改善したという報告があるようです。ただし、イノシトールの摂取をやめると、元に戻るようです。
また、4週間、イノシトールを摂取して改善したが、しばらくしたら悪化するという研究もあるようです。
そして、現時点では証明はされていませんが、抗うつ薬のSSRIの働きを高めるかもしれないとも言われています。
髪・頭皮を健康にする
イノシトールは、神経細胞に栄養の供給をしています。神経細胞は、色々な器官と関連しているので、頭皮の健康が保たれることで、抜け毛などの頭皮トラブルを予防し、発毛、育毛などがしやすくなる頭皮、髪を維持する効果が期待できます。
腸内環境の改善
イノシトールを摂取することで、腸にある筋肉の活動を高めることで、腸内環境を改善して、便秘を抑制する効果が期待できます。
乳児に必要な栄養成分
イノシトールは、人間の初乳に多く含まれている栄養成分です。乳児の成長に必要な栄養成分で、粉ミルクに入っている栄養成分です。
効果は、どれくらい期待できるのか?
イノシトールを摂取することで、どのくらい効果が期待できるのか?を調べていました。
科学的な効果の可能性が示されている
- パニック障害
- 脅迫神経症(OCD)
効かない可能性がある
- アルツハイマー病
- うつ病
- 総合失調症
- 自閉症
- 糖尿病性神経障害
科学的データが不十分
- 脂質代謝異常
- 高コレステロール
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 不眠
- がん
- 発毛
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イノシトールを多く含む食品・食べ物
イノシトールは、穀物や果物、肉、魚などの食品、食材に多く含まれています。ここでは、具体的に、どんな食べ物や食材を食べると良いのか?具体的に紹介します。
数字は、基本的に100g中に含まれている量の目安値です。
穀物類
- 小麦:142~1150mg
- 小麦胚芽:1120mg
- 米:15~30
- 玄米
- 発芽玄米
野菜類
- ピーナッツ:133~304mg
- グリーンピース:約280mg
- えんどう:116~235mg
- 緑の豆:55~193mg
- 白い豆:283~440mg
- 赤い豆:249mg
- アーモンド:278mg
- キャベツ:100mg
- ささげ:約300mg
- サツマイモ:60mg
- ジャガイモ:97mg
- トマト:34~41mg
- アスパラガス:29~68mg
果物類
- オレンジ:約200mg
- メロン:190mg
- グレープフルーツ:117~199mg
- 桃:100mg
- スイカ:200mg
- 梨(ナシ):46~73
- みかん
肉類・魚類
- 牛レバー:64mg
- 牛肉:9~37mg
- マグロ:11~15mg
- レバー
- 卵
飲み物
- 牛乳:14mg
- 栄養ドリンク(1本):約50mg~100mg
- ローヤルゼリー
以上のような食品、食材などの食べ物を意識して摂取するとイノシトールをとることができます。
食後のデザートや朝食にフルーツをとる習慣を持つと、日常的にイノシトールを摂取しやすいです。
サプリメント
イノシトールは、果物、穀物、野菜などに多く含まれていますが、食事で十分な量を摂取できない場合は、サプリメントを活用すると便利です。
過剰摂取した場合
基本的に、イノシトールは、水溶性なので、過剰に摂取すると尿として体外に排出されます。この為、毎日、摂取する必要があります。
ただし、体質などによって、疲労感、頭痛、悪心、めまいなどを起こす可能性があります。
サプリメントで摂取する場合は、推奨されている容量を守りましょう。
効果を倍増させる方法
イノシトールは、ビタミンB群のコリンと相関関係があります。
この為、イノシトールとコリンを一緒にとることで
- 脂質の代謝
- 脳の活性化
可能であれば、コリンを含む豚レバー、牛レバー、鶏卵、大豆、ささげ、えんどう豆、豚肉、牛肉を一緒にとりましょう。
レシチンの摂取もオススメ
レシチンは、イノシトールとコリンが結び付いてできたもので、摂取すると良いようです。具体的にレシチンを食事から摂りたい場合は、卵黄、大豆製品を一緒にとるといいです。
副作用は大丈夫か?
イノシトールは、基本的に、ほとんどの成人している人にとっては安全であるようです。
ただし、体質や摂取のし過ぎで、
- 疲労感
- 頭痛
- 悪心
- めまい
このように、イノシトールの使用で体調が悪くなったら服用を中止しましょう。
使用しない方がいい人
ここでは、イノシトールを摂取しない方がいい人を紹介します。
- 双極性障害(躁うつ病)
- 妊娠中・授乳中の人
双極性障害(躁うつ病)
双極性障害(躁うつ病)の人が、過剰にイノシトールを摂取すると、症状が悪化する可能性あるようです。実際に、イノシトール、タウリン、カフェインが入っている栄養ドリンクを1日に数本、4日間、飲んだことによって、治療によって落ち着いていた双極性障害(躁うつ病)が、極度の興奮状態になったことによって、衝撃性(躁病)で、病院に収容された男性がいるようです。原材料の飲み合わせが原因かは不明です。
妊娠中・授乳中の人
イノシトールを、妊娠中の人、または、授乳中の人が利用した場合の安全性は分かっていないので、使用しない方がいいです。
医薬品への影響
医薬品など薬を飲んでいる場合に、イノシトールを飲むと、どう影響するかは分かっていません。医師や薬剤師に相談しましょう。
注意点
骨粗しょう症対策などで、カルシウムの多い食事、カルシウムのサプリメントをとっている人は注意が必要です。イノシトールは、カルシウムイオンと結合するので、イノシトールの吸収が阻害され、半減する可能性があります。
吸収率を悪くする飲み合わせが悪いモノ
- カルシウム
- 鉄
- 亜鉛
イノシトールの消費量を増やすモノ
カフェインは、イノシトールの消費量を増やします。この為、コーヒーやお茶などカフェインを含むものを日常的に摂取している人は、イノシトールが不足する可能性があるので、意識してイノシトールをとりましょう。
摂取量・使用量の目安
イノシトールは、1日に必要な目安となる摂取量は、500mg~2000mgであるようです。
パニック障害
1日12~18g
強迫性障害
1日18g
リチウム関連の乾癬
1日6g
多のう胞卵巣症候群関連の症状
1日1,200mgを摂取
パニック障害、強迫性障害、リチウム関連の乾癬、多のう胞卵巣症候群関連の症状など、何かしらの症状や病気の治療をしている人は、医師に相談するようにしましょう。
不足した場合
イノシトールが不足したからと言って、健康被害が起こったという報告はまだないようです。
まとめ
イノシトールが発見されたのは、100年ほど前です。哺乳動物の筋肉組織の抽出物からイノシトールが発見され、1940年代には、成育や毛髪を正常にたもつビタミンと思われ、当初はビタミンB群のビタミンB8だと考えられていました。
しかし、現在では、体内でブドウ糖(グルコース)から合成して作ることができることが分かりビタミン様物質としてあつかわれています。
イノシトールが不足することで不具合が起こるといったことはないようですが、「脂肪肝や動脈硬化などの生活習慣病」「パニック障害、脅迫障害、うつ病などの神経障害」などの改善や予防をしたい人は、意識的に摂取してみるといいようです。