グリシンって、睡眠の質や不眠対策など、眠りについての効果が期待できる栄養成分で有名です。
また、食品添加物として、危険性があるのか?といった点でも話題になっています。
ここでは、グリシンに興味がある人にとって、
- どんな効果が期待できるのか?
- 睡眠への効果はあるのか?
- 危険性は大丈夫か?
- 副作用の心配はないのか?
- 1日の摂取量は?
- 多く含む食べ物、食品とは?
- 注意する点はあるのか?
といった気になる点をまとめて紹介しています。
グリシンの効果は、不眠や安眠などの睡眠以外にも、セロトニンの分泌を促進し抗うつ作用、統合失調症対策、肌荒れ対策、肌のハリや弾力を保ち、保湿、美肌効果、抗酸化作用、ダイエット、筋トレなど様々な効果が期待できます。
これらのグリシンの効果について、それぞれ個別に紹介しつつ、多く含む食品や食べ物やサプリメント、危険性や副作用など、総合的に紹介します。
なお、グリシンは、別名で、「フリココール」、「イコエル」、「L-hurisinn」、「モナゾール」と、色々な名称で呼ばれています。
「グリシンって危険なの?」
グリシンって、体に害があるの?危険なの?と思われている場合には、「グリシンの危険性とは?」を参考にしてください。
なぜ、「危険」と言われるようになったのか?を理解することができます。
アミノ酸のグリシンとは?
グリシンとは、睡眠の質を向上させる作用があるアミノ酸として有名です。
特に、グリシンは、体内で1日に数十グラムも合成されるので、非必須アミノ酸に分類され、必ずしも食事で摂る必要がありません。
基本的に、全身のあらゆるところに存在するアミノ酸です。
私たちの体は、水分、糖質、脂質、タンパク質で作られています。このタンパク質は、20種類のアミノ酸からつくられています。つまり、アミノ酸が、皮膚や筋肉、内臓などを作っています。
必須アミノ酸とは、体内で合成できないので、食事で摂取する必要があるアミノ酸のことです。
非必須アミノ酸は、体内で合成できるので、必ずしも食事で摂る必要がない栄養成分です。
グリシンは、体内ではセリンから作られ、体内で重要な働きをする物質のポルフィリン、プリン、クレアチン、グルタチオンの原材料になっています。
グリシンの効果・効能とは?
グリシンの効果効能としての期待できる効き目としては、「睡眠の質を良くする」「寝つきを良くする」作用が有名ですが、それに関連して、他にも期待できることがあります。
実際に、グリシンに期待できる効果としては、
- 睡眠・眠りの質の向上
- 不眠・安眠にも適している
- 統合失調症の症状を改善
- セロトニンの分泌促進で、抗うつ作用
- 肌荒れ予防・美肌効果
- 肌のハリ、弾力を保つ
- 肌の保湿効果
- 抗酸化作用
- ダイエット・太るのを間接的に予防
- 成長ホルモンの分泌を促進
- 筋トレでの筋肉、筋肥大の間接的な効果
これらのグリシンの効果、効能については、下記で個別に紹介します。
睡眠・眠りの質の向上
グリシンの一番、有名な効果、効き目は、睡眠や眠りの質を向上させる点です。
実際に、グリシンを摂取してから眠ると、深い眠り(ノンレム睡眠)になるまでの時間が短くなり、目覚めたときにスッキリと爽快になる効果が期待できます。
グリシンは、全身の色々なところにあるので、臨床試験の偽薬として使われていました。
しかし、グリシンを飲んだ人の中に、「体のだるさ」「睡眠の不調」の回復した人が出たことで、睡眠の改善効果に関する研究が行われました。
また、グリシンを眠る前に3g摂取したグループは、睡眠時間を普段の75%の時間に制限しても、翌日の眠けや疲労感、パソコンでの作業の能率が、グリシンと摂取しなかったグループよりも良かったというデータもあります。
不眠・安眠にも適している
グリシンを摂取することで、より深い睡眠がとれるので、不眠症で、なかなか寝れない、眠りの悩みを抱えている人にもお勧めです。
実際に、グリシンを摂取した人は、通常より睡眠時間が短かったとしても、目覚めたときに、疲労感や眠気が軽減できていると言った安眠効果が期待できます。
グリシンは、眠る前にとることで、体温の低下を促すことで、自然な眠りをもたらすことが分かっているので、軽い不眠の症状の人が、比較的に安眠できやすくする効果が期待できます。
統合失調症の症状を改善
グリシンを就寝前に摂取すると、体温の低下を促すことで、自然な眠りに導くことで、統合失調症の症状を改善する働きが期待できます。
セロトニンの分泌促進で、抗うつ作用
うつ症状は、脳内伝達物質のセロトニンの不足が引き起こすと言われています。グリシンは、このセロトニンを増やすことで、抗うつ作用があると言われています。
肌荒れ予防・美肌効果
肌をキレイに保つ成分として、コラーゲンが有名ですが、体内のコラーゲンの約3分の1が、グリシンでできています。
この為、グリシンをとることで、皮膚のバリア機能を高めて、肌荒れを改善して、美肌を目指すことができます。
肌のハリ、弾力を保つ
肌の真皮層という部分の大部分は、肌の弾力、ハリを維持するためにコラーゲンが存在します。グリシンは、このコラーゲンを構成しているので、肌の弾力、ハリを保つのに大切な成分です。
肌の保湿効果
肌にある保湿成分として、大切な成分として、天然保湿成分(NMF)が存在します。この天然保湿成分(NMF)は、グリシンをはじめとするアミノ酸が約40%をしめています。
もしも、グリシンなど、アミノ酸が不足すると肌が乾燥しやすくなるので注意が必要です。
抗酸化作用
グリシンは、体内で主要な抗酸化物質のグルタチオンの原料になります。グルタチオンの働きで、エイジングケアなど美容健康の効果が期待できます。
ダイエット・太るのを間接的に予防
睡眠時間が短いと、活動している時間が長くなるので、1日の消費カロリーも多くなり、ダイエットによさそうです。
しかし、実際は、睡眠時間が短いと、食欲を増進させるホルモンのグレリンが分泌されて、食欲が抑えられなくなり、ついつい食べ過ぎて太る可能性がまします。
そのため、グリシンで、睡眠時間をシッカリと確保することで、食欲の増進を抑えることで、太るのを予防し、ダイエットへの効果も期待できます。
成長ホルモンの分泌を促進
グリシンを摂取することで、普段より深い眠りになることで、睡眠中の成長ホルモンの分泌量が増える効果が期待できます。
成長ホルモンが分泌されることで、日中に傷ついた細胞の修復、肌の回復など、様々な効果が期待できます。
筋トレでの筋肉、筋肥大の間接的な効果
グリシンで、質のいい睡眠がとれることで、睡眠中に分泌される成長ホルモンの量が増える可能性があります
成長ホルモンが分泌されると、細胞分裂が促進されるので、筋トレした後の、筋肉の筋肥大がより効果的に行われる可能性が増します。
その他
その他のグリシンの作用としては、科学的なデータが不十分だが、
- 肝臓の保護
- がんの予防
- 良性の前立腺肥大症
- 記憶力の強化
グリシンを多く含む食べ物・食品
ここでは、料理に使えるグリシンを多く含む食品、食べ物を紹介します。
特に、100g当たりの、グリシンの含有量が豊富な順に紹介します。
- ゼラチン:24000mg
- 大豆:3600mg
- かつお:3500mg
- かつおぶし:3500mg
- 小麦たんぱく:2700mg
- 車海老:2600mg
- 湯葉:2600mg
- あまのり:2300mg
- 高野豆腐:2300mg
- 豆腐:2300mg
- 伊勢海老:2200mg
- ウニ:2000mg
- 小麦胚芽:2000mg
- しらす干し:1900mg
- うなぎ:1700mg
- きな粉:1700mg
- さざえ:1700mg
- ホタテ貝:1700mg
- 鶏の砂肝:1600mg
- ピーナッツ:1500mg
- 牛ひき肉:1500mg
- 豚ひき肉:1500mg
- ニジマス:1400mg
- アーモンド:1300mg
- あわび:1200mg
残り224個のグリシンを含む食べ物、食品はこちら
1日の摂取量は?
1日の、グリシンの必要な摂取量の目安は、厚生労働省では定められていません。
グリシンは、非必須アミノ酸なので、体内で生成されるので、基本的には、バランスの取れた食事を心がければ、1日の摂取量は気にする必要はないと思います。
サプリメントで摂取する場合の特徴と注意点
グリシンは、睡眠関連のサプリメントに配合されているケースがあります。サプリメントの形状はパウダーや粉末というより、カプセルや粒タイプが多いように感じます。
グリシンが含まれているサプリメントは、色々と販売されており、
- DHCグリシンサプリ
- ファイン グリシン3000
Amazon(アマゾン)では、アメリカのグリシンのサプリメントを「海外直送品」として購入することも可能です
飲み方・使い方
グリシンの飲み方としては、基本的に、サプリメントのパッケージに記載されている容量、用法を守る必要があります。
水や白湯などで飲むのが通常の飲み方だと思います。
摂取時間・飲むタイミング
サプリメントは、食品なので、特に、摂取するのに良い時間、飲むタイミングは、決まっていません。
しかし、一般的には、睡眠の質を向上させたい場合には、「眠る前」などに飲むと良いと言われています。
副作用
特に過剰に摂取しない限り、特に、副作用は報告されていません。
ただし、体質などにり、人によっては、「嘔吐」、「悪心」、「胃の不調」を感じる人あいるようです。
妊娠中・授乳中の場合
妊娠中、授乳中の人が、グリシンのサプリメントを使用したデータは不十分なので、安全性を考えて、使用は控えた方がいいです。
どうしても使用したい場合は、医師に相談しましょう。
医薬品との相互作用
グリシンをサプリメントで摂取する場合は、医薬品との相互作用が起こる可能性があります。
クロザピン
クロザピンは、「抗精神病薬」や「多元受容体作用抗精神病薬」と言われる薬で、統合失調症の治療に使われます。
グリシンと併用すると、理由は分かりませんが、クロザピンの効果が弱まる可能性があります。
クロザピンを服用中の人は、グリシンのサプリを飲まないようにしましょう。また、どうしても飲みたい場合は、医師に相談しましょう。
サプリメントとの相互作用
グリシンと他のサプリメントやハーブ、健康食品との相互作用は明らかになっていません。
グリシンの危険性とは?
「グリシンは危険だ!?」と言ったことが言われていますが、ここでは、何故、グリシンが危険だと言われるのか?を紹介します。
危険だと思われる理由は、「内閣府の食品安全委員会 対象外物質※ 評価書 グリシン」であるようです。
急性毒性試験
ラットを用いたグリシンの経口投与による急性毒性試験における LD50(半数致死量) は、約63,340 mg/kg 体重であった。
鶏(白色レグホン)を用いたグリシンの経口投与による急性毒性試験が実施された。
4,000 mg/日以上の投与で、中毒症状を呈し、極度の疲憊、昏睡及び死亡がみられた。
さらに水分の排泄量は減少し、その窒素含量は 4 倍に増加し、プリン濃度も上昇した。腎臓は著しく萎縮した。(参照 3)慢性毒性及び発がん性試験
ラット(F344 系)を用いたグリシンの飲水投与(2.5 及び 5.0 %:1,250 及び 2,500mg/kg 体重/日に相当)による 108 週間慢性毒性/発がん性試験が実施された。
雌雄ともに用量に依存した体重減少、腎乳頭部の壊死が、また雌の 8 %(2.5 %群)及び6 %(5.0 %群)に腎盂乳頭腫が認められた。内閣府の食品安全委員会 対象外物質※ 評価書 グリシン
上記のとおり、グリシンの過剰摂取が、死ぬ可能性のある危険性を伴うので、怖いと思われているようです。
ラット試験での過剰摂取の状況
上記の内閣府の食品安全委員会の資料では、ラットという人間より、かなり小さな動物に、大量のグリシンを摂取させています。
人間に1日に必要なグリシンの量は、3,000mgだと言われています。これに対して、ラットに、1日で4,000mgを与えています。
これは、体重50キロの人に、395gと言った大量のグリシンを摂取している場合です。
セラチンを、どれだけ食べると過剰摂取になるか?
ラットへのグリシンの過剰投与を人間に、ゼラチンを与えたときに例えてみます。
例えば、ゼラチン、100g当たり、24gのグリシンが含まれています。1kgのゼラチンで、240gのグリシンを摂取することになります。
つまり、ラットと同じぐらいのグリシンを摂取する場合は、1kg以上食べる必要があります。
また、かつお節なら、10kgです。このように、通常では考えられない程、食べると、体の害になります。
食品添加物としてのグリシンは大丈夫か?
コンビニのおにぎりの表示を見ると「グリシン」と記載されていることがあります。
グリシンは、普通の食事として摂取している範囲では、人間の体に害を与えることはありません。
そのため、食品衛生法において、健康を損なうことがないと、厚生労働大臣が定める物質になっています。
食品への表示方法
グリシンを添加物として、食品に使う場合は、
- グリシン
- PH調整剤
- 調味料(アミノ酸等)
食品添加物としての効果
グリシンを食品に使うことで、「調味料」と「保存料」の効果が期待できます。
調味料
「旨味」「甘み」と言った味を良くする作用
保存料
静菌作用によって、食品の日持ちを良くする
グリシンは、調味料として使用した場合には、同時に、静菌作用が働くので、「保存料不使用」とも記載できるので、コンビニ弁当などでは使いやすい成分です。
まとめ
グリシンは、人間の体内に存在するアミノ酸の一種で、食べ物やサプリメントで補うことで、睡眠の質を良くする効果が期待できます。
睡眠の質を良くすることができることで、肌の状態を整える美容効果、筋肉の成長を助ける筋肥大効果、ダイエット、統合失調症、うつなどの対策にも使えるようです。
特に、グリシンは、食品添加物としても使われる「危険性」が心配されるケースもあるようですが、これはラットへの考えられない量の投与が原因であり、普通に摂取する分には、問題ないようです。